てをつなぐ




(さようなら。さようなら。さようなら)
転校する日は呪文のように唱えた。
お別れ会だって形だけ。
私は誰にも縛られない。
だって誰も、私のことなんて見下していたじゃない。
ほら、晴れているでしょう。
私の門出を祝福している。
校門を出て制服のリボンを取ると傍の畑に放り捨てた。
振り返る。
風が出ていた。
とうに落ちるのを早めている日が、すっかりあたりを覆っていく。
(さようなら。さようなら。さようなら)
呪文を何度も繰り返す。
裏の自転車置き場にいつも出入りしていたぶち猫が脇の白線をふいふいと通り過ぎた。
校門に入ろうとするところでくいとこちらを向き髭を震わせ、バカにするようににゃーとないた。
だから私は口に出した。
「死んでしまえ。」
さようなら。さようなら。さようなら。
この学校のものなど皆消えてしまえ。

夕陽が落ちる。
私は、校舎の塀をまわって影に隠れて、誰にも見えないところに来てから声をあげて泣いた。
やっとここから逃げられる。






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